HeadとHolmsの定義
身体図式:身体の姿勢や動きを制御する際にダイナミックに働く無意識のプロセス
身体イメージ:自分自身の体について意識的に持つ表象
としています。
雨上がりの水溜りがある道を、他人にぶつからないように歩くとき、無意識な制御は身体図式を基にし、水溜りを避けるように足の踏み場を調整するのは身体イメージを基にしているといえるでしょう。
身体図式が表現しているものは何でしょうか?
1)身体の幅
2)身体の長さ
3)身体の姿勢(重力との相対的な位置関係)・構え
4)身体に加わる物理的な圧力
5)発揮する力
6)物(道具)を身につけたとき(触れる、持つなど)にその物を含めた身体の幅・長さ
などが考えられます。
なので、例えば前においてあるものに手を伸ばして取り、手元にもってくるときに
1.どの程度腕を伸ばせばよいか<1)、2)、3)>
2.持ち上げるのにどの程度力を発揮すればよいか<4)、5)>
3.物に合わせてどのように手前に引き寄せるか<1)、2)、3)、4)、5)、6)>
などを前にある物(道具)を見た(認知した)ときに予測的に表現していると考えられます。
視覚的(空間の表象)に物を捕らること、物を持つことを意図することが身体図式とつながることによって、行為が遂行されるわけです。
空間あるいは面を知覚すること、意図、身体図式、運動(出力)がうまくつながって機能するようになることが「統合」の一側面かもしれません。
ATMを考えると・・・
空間(あるいは面)の知覚(注意を向けることがより分化することにつながる)→意図→動く(知覚の変化、身体を構成しているものの変化)→身体の知覚→身体図式の変化とつながっていくのではないかと考えます。
よくわからないのは身体図式(無意識的な部分)が、意図がほかの部分に向かっているときにも変化していること。これって何ででしょ?
あ~~~なんだかまたこんがらがってきてしまいました。
どなたか救いのコメントを!
フェルデンクライスとボディイメージ
ボディイメージとはなんぞやってとこから始めましょう.
ボディイメージに日本語訳を当てるとすると2つの違った用語が出てくるのが通例です.
1.身体像 2.身体図式
生理学者の入来先生は以下のように定義しています.
身体像
我々自身の「身体」の、形や機能や意味などといった様々な世界における価値に由来する種々混ざり合った情報体系が、いったん我々の感覚器で検出しえる個々の情報に分解されて受容され,それらの間の関係性についての意識的解釈にもとづいて再統合され、「身体」という概念が脳内で再構成されたもの。
マリアンヌ・フロスティグの定義です。
身体図式
身体図式は完全に無意識で、瞬間瞬間に変化する点で、身体像や身体概念と異なる。身体図式はある瞬間の筋肉の位置や身体部位相互間の位置関係を定める。そして身体の向きによって変化する。人の身体のバランスは、身体図式に依存している。身体図式が無かったら、歩くことも、座ることも、前かがみになることも、その他どんな動作もできずに転んでしまう.身体図式が混乱していたら、協調運動や平衡の維持がひどく困難になる。
入来先生は「サルの道具使用」の研究から以下のことを明らかにしました.
素手のときの視覚受容野は手の周囲の空間にある。
道具を使用したときの視覚受容野は、道具に沿って延長される。
単なる物体としてモノをもった時の視覚受容野は手元の空間に限局。
↓
サルが道具を使用とする意図にのみ関連して引き起こされたものではないか。
↓
身体像は意図によって変化する。
そこから、身体図式について言及しています.
身体図式
1)訓練によって獲得される
繰り返しつまれる訓練によって,身体とそれに付随する付加的要素を含む表象を,脳の中に獲得することが必要。
2)環境中の動作の適切な遂行のために無意識に活用されること
身体の輪郭を「身体で覚えて」いて、運動の遂行様式に反映させている。自分自身についての「内部モデル」が脳のどこかに格納されており,運動の発現時に自動的に読み出されているらしい。
3)身体の一部に付着した人工物に延長されること
4)状況に応じてスイッチの切り替えが自在なこと
人工物をはずせば元のサイズに戻り,違う人工物を身につければその週間から別の身体特性を持った自分が動き始める。
5)頭頂葉にこの機能の座があること
ATMあるいはFIによって、変化していくのは何か?筋の状態は当然変わりますね.でもそれだけでは統合されたとはいえません。では何が変わると統合といえるのでしょうか?意図と動きとが一致したとき、それが統合なのかなと思います。それでいくと、このボディイメージというやつが変わることが統合の一つの指標となるのではないでしょうか??
みなさまからのコメント、ご批評おまちしてます。
コメントありがとうございます.同業者?からコメントをもらったことがあまりない、というか、コメント自体があまりないので嬉しいですね。
きぐうにも、私も船橋在住なんですよ!!
ストレスの件ですが,唾液でわかるんですか!?すごいですね.
心拍変動で自律神経機能がわかるというのは知っていましたが,
唾液でというのは初耳です。生化学検査になるんですかね?
心拍変動だと、心電図から分かるようですよ。
ただ、ストレスが、その人にとって有害なのか必要なのかまでは検査でわかるのか?っていうところが僕は疑問です.心拍変動で言うと、自律神経反応を検出するのですが,好きなことでも興奮として検出するだろうし、きらいなものでも興奮として検出するだろうと考えるからです。
ストレス指標=自律神経反応と考えると,(生物学的)価値判断からはちょっと距離があるように思うんですよね。
パーキンソンについてですが,彦坂先生の「眼と精神」 医学書院 という本にちょっと詳しく載っています.
補足運動野というと、アウトプット(運動)に関わる方なので,もちろん関係があるとは思いますが,パーキンソン自体が,運動の問題なのか、感覚の問題なのか僕にはよく分からないのでなんともいいがたいです.もちろん、授業では運動の問題と教えられてきましたが・・・。
通勤に、総武線と京成線をつかっていますが、西船橋から出て数駅めの駅の広告にこんなのがありました。「バランスセラピー ~あなたのストレスを科学的に測定します~ 」!!
科学的なストレス測定ってなんでしょうか???ある刺激がストレスになって、それがどんな影響を及ぼすかなんて個人差が大きくて、測定して意味があるのでしょうか。ハテ??
前回書いたとおり,週末にアレキサンダーのレッスンに参加しました。
ソフトではありましたが、頸部を沢山動かすことになったので、日曜日の朝、首に違和感と両肩には痛みがありました。その後うつ伏せでワークすることがあり余計に違和感を強めてしまいました。
昨日は呼吸がうまく出来ず、しゃべるのもつらかったです。
ある部分は良くなっても,他の部分とうまく調和できていなかったのかもしれません。つくづく自分のからだでありながら、よくわからないものだなあと思います。やはり、変化は学習されて、意識的あるいは無意識的に再生、再現される状態で無ければ使い物にならないのかもしれません。
脳の前頭葉、運動機能に関わる部位の続き
4.帯状皮質運動野
大脳辺縁系から、身体や報酬、内的欲求、情動に関する情報を取り入れ、それらを多種の連合野情報と統合処理して個体が必要とする動作や行動を発現させるための情報を複数の運動野に送り込む場所。知覚したものだけではなく、生物学的な価値判断が加味される場所。帯状回を含む前頭連合野を傷害された、フィニアス・ゲージという人がいます。1800年代の話しですが,発破工事の途中に、鉄の棒が眼窩から頭の上に突き抜けてしまったのです。思考や判断と言った高次の認知機能は比較的保たれていたのですが,ものすごく人格が変ったんです。自分で計画するとか将来性に関する意識、要するに自意識とか自我が欠けてしまったんです。
ちなみに帯状皮質運動野を障害すると無動・無言症になるそうです。
5.運動前野(背側と腹側に分けられます.)
背側運動前野:行うべき動作の企画と準備に重要な関与がある。
腹側運動前野:視覚情報によって,動作の空間的誘導及び動作選択に必要な視覚情報の 獲得。
6.前頭眼野:サッケードをつかさどる。
サッケードというのは早い眼球運動のことで,視覚対象に対して網膜中心窩を急速に合わせるときに行われる眼球運動のこと。周辺視野に動く物体が入ってきたときに、パッと振り向いたり,声のする方をパッと振り向いたりするときに実感しますね。これは特に反射性サッケードといいます。
他にも、随意性サッケード、自発性サッケードなどがあり、前頭眼野の他、脳幹、大脳基底核などもかかわります.
ちなみにパーキンソン病は黒質に異常が見られますが,サッケード機能も一緒に障害されます。パーキンソン病の方には、横断歩道などの縞模様があるところは動きがスムーズになるという現象がみられますが、縞模様が視覚情報のとりいれの障害を緩和するような作用があるのかもしれません。
7.前頭前野:行動の総合的な司令塔。行動のプログラミングを組織化に関わる。
今回はこの辺で・・・
好奇心の翼さん、トラックバックありがとうございます.ところで、どうやってお返しすればよいですか・・・?